街の木でつくる家具

街の木のテーブル

 

これらのテーブルでは、木の生来の形同士がうまく合う組み合わせを探して天板を構成し、真っ直ぐな木で作るテーブルにはない魅力を出そうと試みました。曲がっていたり形が歪であることは、木材の世界では欠点と言われますが、曲がりや欠点だらけの街の木の場合、そうした個性を活かさなければ使える材料が著しく減ってしまうのです。

街の木の本棚

ライブラリーが建つ敷地にあった木々を主たる素材として製作した本棚。縦に通る仕切板に用いたメタセコイアは柔らかいので、厚い部材として強さを確保し、樹脂を浸透させる塗装で表面の硬さを上げています。位置を動かせる棚板は、板の反りを止める部材を追加すると収納性が損なわれるので、あえて少し腐らせた(熟成させた)エノキを使用しています。腐朽が入ることで強度が落ちますが、反ろうとする力も弱まって、大人しくなるのです。動かせない棚板には、甘い 芳香を放つヒマラヤスギを使用して、この本棚に近づくと良い香りが漂うようにしています。本棚の要所には、75樹種からなる木のタイルを貼り込んで、この本棚が設置されたライブラリーの周辺で見られる木々の、木材見本としても活用できるようになっています。 

⾷の⽊々のラウンジチェア&テーブル 

 

食と関わりの深い樹種を集めて作りました。テーブルの天板は果実が美味しいクワ、脚は実をウォッカ漬けにすると素晴らしい香りになるカヤ、列柱のような棒材にはブドウ、カリン、薬味としてお馴染みのサンショウ、たくあんなどを黄色く染めるクチナシ、仕込んだ味噌の上に敷き込むのに若葉が使われるアオキ、枝を牛乳に刺しておくとヨーグルトができるサンシュユ、日本産シナモンのニッケイ。椅子にはナツミカン、ビワ、カキ、ウメといった庭木で出会うことが多い果樹を使用しています。 これらの木々から得られる木材はどれも魅力のあるものですが、大木や真っ直ぐに育ったものがほとんどないため、まとまった量の木材や、とりわけ長い部材を採ることが困難です。そこでこのラウンジチェアでは、長い材がなくても作れる肘掛の上下で部材が分かれるデザインを採用し、「食」というテーマのなかで樹種をミックスすることで、少しずつしか揃わない木材も活かせるようにしています。 

紅葉の⽊々のラウンジチェア&テーブル 

紅葉が綺麗な樹種を集めて作りました。テーブルの天板は真っ黄色に紅葉するカツラ、脚はイチョウ、列柱のような棒材にはドウダンツツジ、マユミ、ヒメシャラ、ナンテンの枝を使用しています。椅子ではイロハモミジ、トウカエデ、エノキ、ハゼノキを使用しています。 紅葉が鮮やかな木々の木材の色はどうなのか?意外や大人しく白っぽい色味のものがほとんどです。例外はハゼノキの芯材やナンテンで、驚くほど鮮やかな黄色い木材が良いアクセントになってくれています。  

街の⽊の椅⼦(シェーカー型)  

シェーカースタイルの椅子をアレンジした、ハイバックチェア。オリジナルでは、4本の脚を横に つなぐ部材がすべて丸棒という繊細なデザインになりますが、長期にわたるハードユースでは緩むことが多いので、脚をつなぐ部材を板にして堅牢な作りにしています。座面もオリジナルのペーパーコードから、柔らかいクッション張りに変えています。 ライブラリーに設置したものは、敷地に生えていたシラカシ、アカガシ、アラカシ、スダジイといったどんぐりの木々で揃えました。 リトルツリーのものはライブラリーよりも空間的余裕が少ないため、全体に少し小ぶりなサイズとし、どんぐり4樹種に加えてビワ、カキ、ナツミカン、ウメの果樹4樹種を加えています。リトルツリーでは、座面のクッションもそれぞれの樹種から得られた樹皮を用いて染色した布地で張りました。木材を購入してのものづくりではなく、立木の状態から伐採や製材をして作っていると、その過程で剥いて出る樹皮なども、活かしたい気持ちが湧いてきます。 

街の⽊の椅⼦

街の木は木材に適した樹形に育てられたものではなく、またそもそも街の木に多い広葉樹は、真っ直ぐに育つものばかりではありません。そのため、街の木から得られる木材の多くは曲がっていて、木材の世界の一般的な基準でいう良材とは言えません。この椅子では、木の曲がりを後脚の曲がりとしてそのまま活かすことで、そうした木々の有効活用を試みました。 

​温室棚

小さな鉢に植えられた植物を楽しむための展示棚。そもそもはヒノキやスギの活用促進に取り組むなかで生まれた作品。複雑でシビアな加工が多々あるのだが、見た目上はすっきりとシンプルに見せられるよう腐心した。製作にあたっては、真っ直ぐに目が通った欠点のない材料が必要なので、ヒノキやスギで作るにしても、最も等級の高い材で作るしかないものになっている。 

桜の⽊のラウンジチェア&テーブル 

ソメイヨシノ、ヤマザクラ、ウワミズザクラ、街で育った桜を集めて作りました。木材として一般的に利用される山桜に比べ、ソメイヨシノは木目が素直ではないことがほとんどで、木材に適さない木の代名詞とされています。木目は単なる模様ではなく、構造的な力の流れのあらわれで、それを無視して形だけ作ってもだめなのです。このラウンジチェアでは、ソメイヨシノのしっちゃかめっちゃかな木目の曲がった部分と別れる部分とを、背もたれと肘掛けを支える二股に分 かれる部材の曲線に活かしました。テーブルの天板にもソメイヨシノらしい形の大きな切り株を用いましたが、完成品の滑らかな表面は、無数にあった深い割れを樹脂で埋め、研磨して完成したものです。 

図書館⽤カウンター  

サクラをメインに、内側の一部にはエゴノキやイヌマキも使って製作した図書館用受付カウンター。サクラ材は摩耗に強いので、カウンターなど繰り返しこすれる部位での使用に適します。街のサクラは傷みが多く、割れもきついものがほとんどですが、このカウンターの材となったサクラ(この図書館の敷地近くで伐られたもの)も例外ではありませんでした。不朽部には樹脂を含浸させて強度を高め、割れの隙間には樹脂を充填、割れが広がらないようたくさんの千切 (蝶々の形をした部材)を象嵌しました。正面の奥には数十に及ぶ樹種で作った木のタイルを貼り込み、様々な木で作られた図書館の顔としています。 

図書館⽤ソファ

図書館の閲覧室用に製作したソファ。ネットでどんな本でも手に入る今、リアルの図書館ならではの仕掛けとして、次に座る人のために本を残していけるよう、座面下には一席ごとにひとつづつ引き出しを設けました。本体はエノキ、背もたれの丸棒にはムクノキ(エノキとムクノキは葉っぱがそっくり)、肘掛を支える丸棒にはモッコクとツバキという庭木でよく見る花木を使用しています。 

街の木のハンガー

曲がった細枝を活かせないかと考える中で生まれた作品です。伐った時期や樹種によっては、樹皮をきれいに残せることがありますが、そうした材がより一層の個性を、ハンガーの一本一本に与えてくれています。中央の要部分にには防虫効果のあるクスノキ材、フック部分には銅の棒材を加工して使用しています。 

都市森林プロジェクト

庭木、街路樹、公園木。これまで眺めるだけだった街の木に「活かす」という視点を取り入れて、その魅力と価値を最大化。木があって良かった! のその先に、「街の木=都市森林」の新しい循環が生まれようとしています。

都市森林株式会社

一般社団法人街の木ものづくりネットワーク

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© 2019 Yoshiyuki Yuguchi