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公立中学校の樹木を活かす取組み
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活用樹種 : クスノキ

都市林業の取り組みでは、これまでにたくさんの、子どもたちにとって有意義な体験活動の機会をつくってきました。

子どもたちからはいつも最高の反応が返ってくる。製材ワークショップなどでは、大人も子どもみたいになってしまうものですが、それも含めて、ああ自分たちは本当のことができているのだと、とても勇気をもらえます。街に木があって良かった、の最大化を目指す都市林業にとって、子どもたちに体験活動の機会を提供することは欠かせないことなのです。

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ある公立中学校での木々を活かす取り組みの、相談のはじめは校内で伐採予定の木で記念品を作ってくれないか?ということでした。こちらから提案させていただいたのは、記念品を自分たちで作ってはどうかということでした。伐採をするところから皆で取り組んで、大きな丸太を材にしていき、技術室にある工具を駆使して、先生方や用務主事さんが音頭を取って、生徒たちと一緒に記念品を作るのです。私はその企画づくりや支援を行なって、このプロジェクトが上手く着地できるよう伴走していきますが、学校が一丸となって取り組まなければ成功できない企画です。
 

通常、こんな企画は通らないものです。みんな通常業務だけでも忙しいのです。さらに大変になることをする必要があるでしょうか。誰かがこんなことをしようと言い出したところで、それに乗らない理由はいくらでもある。にもかかわらず、この学校の先生と職員さんたちは、自分たちが動く、やってみようと言ったのです。
 

そうして半年前、全校集会に私も出席し、はじめて生徒たちにこの件の話をしました。そもそものきっかけであった先生たちからの相談のこと。校長先生曰く、他の自治体ではものすごく予算がついて事業を進めている学校があって、こんなに素敵な学びの空間をつくっている。ウチにはそんな予算があるわけではないけれど、ウチの生徒にもなにかできることがないものかと。私は話を聞いて、そのインテリアの写真も見ましたが、なんのことはない、一見オシャレだけれども、今風のオフィスによくある木目シートだらけの薄っぺらいものでした。集会で私は、全然すごいと思わなかったと生徒たちに言いました。そんなのはお金が降ってくればできること。業者が生徒の知らないところで工事をして、はいどうぞと与えられるだけのこと。すごいのは、通常業務だけでも大変なはずの先生たちが、生徒たちの学びになるならチャレンジすると言ったことだと。オシャレな校舎なんかよりももっと面白いことを、生徒たちに呼びかけて一緒にやろうと、校長先生も副校長も先生方も用務主事さんも、みんなやる気なんだということを、生徒たちに話しました。

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その後、目の前にあった大きな立木が、半年にわたって、様々な工程を経て記念品へと加工されていきました。立木の状態から完成まで、すべて校内で。そうして迎えた式典。式典は厳かでとても感動的なものでした。先生も用務員さんも生徒も、皆で作った記念品は、無事、来賓の方々に贈られて、無事終わったわけですが、伐った木からは、サクラもクスノキも、元気にひこばえが出ていたし、これをまた大きく育てるチャレンジなども提案していきたいと思いました。

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