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街の木を活かす、都市林業のある街イラスト

​都市林業という提案

みんなで植樹

街路樹などの一部の緑地では、はじめから木材としての活用を前提とした維持管理を行うことで、木材としての利用効率を大きく高めることができると考え、提案をしています。木材化に適した樹形を意識して管理し、傷みが入るような強剪定はしない。強剪定が必要な段階になったら伐採し、あらかじめ地域で育てておいた苗木を植えることで更新する。 定期的な伐採と更新。 山の林業では当たり前に行われていることです。

街の木を木材に

街路樹や公園などの木

街路樹や公園木、庭木など、私が暮らす街には、意外なほどたくさんの木がありました。山や森の木に勝るとも劣らない、樹齢を重ねた大きな木も少なくはありませんでした。

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意識して街の木々を見はじめたところ、木が伐られる現場に出会うことが頻繁にあることに驚かされました。私の街では、日々、たくさんの木が植えられたり成長したりしている一方で、日々、たくさんの木が伐られてもいたのです。

工事現場で、伐られた丸太

工事現場などで、伐られた丸太の引き取りを申し出ると、処分費が減らせるということで、大変喜ばれました。伐られた木々は、たとえ大木、巨木の類であってもごみ同然、ほとんど無価値なものとして扱われていたのです。

伐られた丸太の運搬作業

私は、工事現場などで木の伐採に出会う度にその丸太を回収し、木材化して活用することを試みていきました。

木材化の課題

「そんなものはゴミ」「燃やせ」「薪でもいらない」

 

木工を生業とする人たちは、私が集めた木々を見て、当初そんな感想を述べました。趣味としてやるかアートとしてやるか、助成金でももらってやるのならわかるけど、、、山の木だって売れないのにそんなものが商売になるわけがない。それは木の玄人にとっては自明のことでした。

課題1   現状、木材用に適した原木が滅多にない

街の木に多い広葉樹の場合、統計によると(2017年農林水産省)、木材にされたのは全体の6%強にすぎませんでした。​伐られた木々は基本的に木材になっているものと思いがちですが、山で伐られた広葉樹もほとんどは製紙用の木材チップ等になっているのです。

街の木活用のむずかしさの説明

これは裏を返せば、木工で扱うのに適した原木は、林業の対象地である山林を含めても極めて少ないということです。街の木なんて何をか言わんや。街の木のほとんどは曲がったり幹が別れたりして節だらけで、一定以上の大きさに育ったものの多くは強剪定により傷みが入り、弱ったことが原因で虫や腐朽が入ってしまっていたのです。

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課題2 多樹種のノウハウ   

には驚くほどたくさんの樹種がありますが、そのほとんどは木材として流通するものではなく、その活用ノウハウがありませんでした。種々雑多な街の木が、それぞれにどんな性質を持っているのか、何を作るのに向いているのか、材としての性質を理解して、適材適所を実現できなければなりません。また、伐採から製材、乾燥、デザイン、設計からデザインまで、各工程における作業が、材の特性に応じて適切に行わなければなりません。

街の木のサンプル

あらゆる樹種の活用を試みながら、伐採、製材から乾燥、設計、加工に至るまでの一貫した取組みを行うことにより、100樹種を越える都市の木の活用ノウハウを蓄積。2019年現在約175m³(直径30cm×長さ2mの丸太換算で約950本)を工事現場などから回収・加工しての暮らしの中に戻してきました。

課題3 専門家や業者の連携   

立木を木材にして物を作るには、様々な専門家や業者の力が必要であり、これまでであれば関わるはずもなかったような業者同士の連携も必要になってきます。木々の健康状態から木材に適しているか否かの判断、木材化を前提にした伐採、運搬、最終的に作る物を見越しての製材や乾燥、デザイン、設計と実作まで、実作にあたっても、小物雑貨から家具、建築まで、それぞれの専門領域に分かれているのが普通です。都市の木を活かすには、すべての領域に渡る知識と経験、たくさんの専門業者と連携してプロジェクトを進められる体制づくりが必要でした。

課題4 都市部には立木を木材化する効率的なインフラがない   

木材加工をする製材所
木材加工をする製材所

製材所の数は年々、​減少しています。

都市森林プロジェクト

現状、の木を木材とすることに課題が多いことは明らかです。合理的でないことは、通常コストとして跳ね返ってきます。私も様々な工夫で合理化を進めてきましたが、それでも電話一本で届く一般に流通する木材とくらべたら、都市の木の材料としてのコストは高くならざるを得ないのが現状です。仮に上記の「都市林業」のアイデアが実現されても、大きく状況は変わらないでしょう。

では、その上でどうするか? どうすれば成立できるのか?

簡単です。コストというデメリットの圧縮に限界があるならば、メリットを増やせば良いのです。

の木の活用を選んだ人に、家族に、地域に、街に、そうして良かったと実感していただければ良いのです。の木を活かさなかったこれまでよりも、活かしてみたらこんなに良いことがあった! 楽しかった! 得をした! と皆が思えるようにすれば良いのです。

その方向で考え、試行錯誤する、取り組みの全体を差して「都市森林プロジェクト」と呼んでいます。例えばの木を活かすプロセスに地域の人が関われる機会をつくったり、都市森林の循環というヴィジョンのもと、都市森林と街の暮らしをトータルで考える、広範な取り組みを展開しています。

都市林業の事例紹介:公園と街路樹、商業施設の木で図書館をつくる。グランベリーパーク、東京都町田市
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事例紹介

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