ともしびショップ湘南平/湘南リトルツリー

この建物は、障害者支援に取り組む社会福祉法人進和学園が長く運営してきた店舗であったが、 福祉の店という形のなかで、ごく限られた人しか訪れない場所になっていた。福祉の店という既成概念から脱却し、障害のある方々はもちろん広くたくさんの方々に訪れていただける場所に変えていきたい。障害のある方はもちろんすべての人が活躍でき、心地よく居られる場所をつくりたい。進和学園のそんな思いが起点となり、本プロジェクトははじまった。

障害のある人もない人も共に生きる社会、を発信する店舗。単にお洒落なお店をつくるだけでは 不十分であるという、進和学園側から出された要望に応えるにあたって、街の木は最適の素材であった。木材の世界と障害をとりまく世界、いやもっと言えば人間一般の世界は、個性が欠点にも魅力にもなり得るという点において共通していた。個性を活かす、と言うのは簡単で、実現が困難であることも同じである。

一般に木材の世界では、節も曲がりも風や荷重に耐えて体内に蓄えた反発する力も、虫食いや痛みなど、木が生きてきたなかでできた闘いの痕跡のことごとくが、欠点と呼ばれている。欠点が多ければ多いほど、木材として用いて製品を作るのが困難になるのである。そして、とりわけ街の木には欠点が多いのだ。また、街の木には驚くほどの樹種があり、そのほとんどは、今日、木材として一般に使用されることのない個性豊かなものとなっている。

そんな街の木を、このお店の空間の中ですべて活かして、進和学園が目指す世界を表現しよう。 進和学園が障害のある方々の個性を活かそうと取組みを続けていること、とらえようによっては欠点と言われるような個性を活かして、誰かを喜ばせられる製品や場所を作ろうとしているように、街の木という個性のかたまりの素材を使って、そこを訪れる人を喜ばせられる空間を実現しよう。銘木が個性をこれ見よがしに競う空間ではない。多様な個性が当たり前のように調和して、静かで、それでいて活気があり、誰もがリラックスできるような空間を実現しよう。

「欠点だらけで使い物にならないと言われる街の木の個性を集めてつくる調和の空間が、訪れる人を幸せにする、そんな空間をつくります。その空間はきっと、進和学園が目指す世界を象徴するものになるはずです。」

完成した空間には、50樹種の個性豊かな街の木々が適材適所で使用され、そのなかには工事の期間中に敷地前の公園でたまたま伐採されていた、エノキやコナラ、クマノミズキの大木も含まれた。伐採されて横たわっていたエノキやコナラを切り出して運び出す作業には、進和学園の役員や施設長、職員、障害のある方々が、共に汗を流して取り組んだ。一部の壁の下地には、進和学園の敷地にあった竹を使って木舞を組み、地元の土で塗り固めたが、その作業にも進和学園の皆で取り組んだ。土の上には職人の手で仕上げ塗りをする予定であったが、皆で塗った手の跡を残したいと下塗りのまま残された。

都市森林プロジェクト

庭木、街路樹、公園木。これまで眺めるだけだった街の木に「活かす」という視点を取り入れて、その魅力と価値を最大化。木があって良かった! のその先に、「街の木=都市森林」の新しい循環が生まれようとしています。

都市森林株式会社

一般社団法人街の木ものづくりネットワーク

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© 2019 Yoshiyuki Yuguchi